「この話、この前もしたよね?」「また同じ質問してる…」「何回言っても覚えてくれない!」――あなたの周りにも、何度話してもすぐ忘れる人はいませんか?
一見「だらしない」「聞いてないだけ」と思われがちですが、実はその裏には年代ごとの心理的特徴や脳の働きの違いが関係しています。
この記事では、心理学・脳科学の視点から「何回話してもすぐ忘れる人」の心理を10代から70代まで年代別に徹底分析し、今日からできる実践的な対処法まで詳しく紹介します。
【総論】なぜ人は何度も同じ話をしても忘れてしまうのか?
まず前提として、人が話を覚えられない・すぐ忘れてしまうのには主に以下の3つの要因があります。
- 記憶定着のメカニズムが働いていない(注意力や興味が低下している)
- 心理的防衛反応(受け入れたくない・ストレス回避)
- 脳の加齢・情報処理能力の変化
つまり、「同じ話を何回しても話を忘れる人」は単に「聞いていない」のではなく、心や脳がその情報を処理できていないことが多いのです。
それではここから、年代別にその心理と対処法を見ていきましょう。

10代:情報過多と自己中心的思考による「覚えられない」
心理的背景
10代はスマホやSNSの利用が生活の中心にあり、1日に触れる情報量が圧倒的に多い世代です。
このため、脳が「重要な情報」と「一時的な情報」を整理しきれず、すぐに忘れてしまう現象が起こります。
また、思春期特有の「自分中心的思考」も影響します。自分に関係のない話題や興味のない話は、脳が自動的に“不要”と判断して記憶に残しません。
対処法
- 短く、結論から話す:「〇〇の件だけど、結論から言うね」と前置きする。
- 視覚的に伝える:メモ・画像・動画など、文字や映像で補足。
- 自分ごとに置き換えてもらう:「もしあなたが〇〇だったらどう思う?」と考えさせる。
20代:マルチタスク脳と社会的プレッシャー
心理的背景
20代は勉強・仕事・恋愛・SNSなど複数のタスクを同時にこなす時期。
脳が常にオーバーロード(過負荷)状態にあり、「聞いたつもりでも覚えていない」ことが頻発します。
また、「失敗したくない」「嫌われたくない」という心理的プレッシャーにより、頭の中が常に緊張状態となり、短期記憶の保持が難しくなります。
対処法
- メモや記録を習慣化させる:相手が記録を取っていない場合は「メモしておくと後で楽だよ」と促す。
- リマインドでサポートする:LINEのアナウンス機能やタスク共有アプリを提案。
- 一度に詰め込みすぎない:話題を1テーマずつ区切る。
30代:責任の増加による「思考の分散」
心理的背景
30代は仕事や家庭の責任が増える時期で、「覚えているつもり」が実は脳の“思考の分散”によって処理しきれていないケースが多く見られます。
心理学的には、ワーキングメモリ(短期記憶の作業領域)が複数の責任で埋まっており、新しい情報を入れる余裕がない状態です。
対処法
- 話すタイミングを選ぶ:相手が忙しそうなときは避ける。
- 要点をメールやメモで補足:「先ほど話した件をまとめておきました」と送る。
- 優先順位を共有する:「これは今日中」「これは来週まで」と明確化する。
40代:認知疲労と「思い込みフィルター」
心理的背景
40代になると、脳の情報処理速度が徐々に低下し、記憶力よりも“経験則”で判断する傾向が強くなります。
このため、「前も同じ話を聞いたけど、たぶん違う内容だろう」と思い込みが働き、結果的に同じ話を繰り返すことがあります。
対処法
- 過去の話題を明確にリンクさせる:「前にお話した〇〇の続きなんですが」と伝える。
- 要約と確認をセットにする:「つまりこういうことですよね?」と確認を入れる。
- 相手の自尊心を尊重する:「あのときも良い意見でした」とポジティブに補足。
50代:記憶の「定着力の低下」と感情の優先化
心理的背景
50代は脳科学的に「海馬(記憶形成)」の働きが緩やかに低下します。
また、ホルモンバランスの変化により、論理的思考よりも感情的判断が優先される傾向も強まります。
そのため、印象に残らない話題や興味の薄い情報はすぐに忘れてしまうことがあります。
対処法
- 感情に訴える伝え方:「〇〇すると嬉しい結果になります」とポジティブに表現。
- 繰り返し伝える:1回で終わらせず、翌日・翌週にも軽く触れる。
- 聞き手を尊重するトーン:上から目線ではなく「ご参考までに」と柔らかく伝える。
60代:加齢による「エピソード記憶」の低下
心理的背景
60代では「エピソード記憶(体験を伴う記憶)」が低下しやすくなります。
聞いた内容そのものよりも、“どんな状況で話したか”が思い出せないため、同じ話を何度も繰り返してしまいます。
対処法
- 共通の体験を紐づける:「この前ランチのとき話した件ですが…」など状況を思い出させる。
- メモや写真を使って補助:「これがその時の資料です」と視覚情報をセットに。
- 否定せずに付き合う:「そうでしたね」と受け入れてから本題に入る。
70代:脳機能の個人差と「安心感を求める会話」
心理的背景
70代では、個人差が大きいものの、短期記憶や注意力の低下が顕著になります。
ただし、何度も同じ話をするのは「不安を解消するため」「自分の存在を確認したい」という心理も関係しています。
対処法
- 安心感を与えるリアクション:「うんうん、そうでしたね」と丁寧に返す。
- 会話を遮らない:途中で止めると不安を強めるため、最後まで聞く。
- 話の内容を要約して返す:「つまりこういうことですよね?」と確認しながら整理。
【まとめ】「すぐ忘れる人」は敵ではない。伝え方を変えれば通じる
何回話しても忘れる人にイライラするのは当然ですが、それは「相手が悪い」わけではありません。
人は誰でも、自分の興味・心理状態・脳のコンディションによって記憶の仕組みが変わります。
大切なのは、「何度言ってもダメ」ではなく「どう伝えれば届くか」を考えることです。
- 10代:情報過多 → シンプルに伝える
- 20代:マルチタスク → リマインドを活用
- 30代:責任過多 → タイミングと要点整理
- 40代:思い込み → 明確に繰り返す
- 50代:感情優先 → 共感を重視
- 60代:体験記憶低下 → 視覚で補助
- 70代:安心感重視 → 丁寧に受け止める
人の記憶は「伝え方」で変わります。
相手の心理を理解し、寄り添うことで、驚くほどスムーズな人間関係を築けるはずです。
\他の記事もぜひご覧ください!/
